*English version is here→ “Information on Open Access to academic papers”
インターネット上で無料公開される査読済み学術論文に誰もがアクセスできる、オープンアクセス (OA: Open Access)と呼ばれる仕組みが20世紀末から徐々に整備されてきました。その背景として、学術雑誌の高騰、電子化技術の進展とインターネットの世界的な普及などが挙げられます。研究者にとっては、自らの研究の成果である論文がより多くの研究者の目にとまり、引用される契機が生まれました。オープンアクセスの推進により研究成果の共有と利活用が進めば、研究開発の費用対効果が上がり、学際的な研究の促進、イノベーションの創出等につながります。今やオープンアクセスは、学術情報流通における論文の視認性や価値を高める方法の主流となっています。
論文のオープンアクセス化の実現方法には、グリーン・ロード (Green Road)とゴールド・ロード (Gold Road)の2つがあります。
➀グリーン・ロード (グリーンOA) |
無料でアクセスできるサイトに、出版社が定めた期間の経過後に出版社が認めた原稿 (論文の著者最終稿やプレプリント等)を登載する (セルフ・アーカイブする)方法です。著者が所属する大学等の機関が運用するサーバ (機関リポジトリ)が論文の登載先の例として挙げられます。機関リポジトリは、大学等が自機関の研究成果を収集・保存・公開し、誰もが無料で閲覧することのできる電子アーカイブのことで、本学でも「埼玉大学学術情報リポジトリSUCRA」 の名称で運用しています。論文の登録をご希望の方はこちらをご覧ください。 |
➁ゴールド・ロード (ゴールドOA) |
出版された論文に誰もが無料でアクセスできるように公開する方法です。例えば、著者側がAPC (Article Processing Charge: 論文出版料)を負担し、OAジャーナルへ投稿する方法があります。これまで購読料として読者側が負担していた学術ジャーナルの出版費を、著者側が代わりに支払うことで、OA化された論文へのアクセスを可能にするという仕組みです。 論文著者の所属機関の契約方法等によっては、APCの軽減措置を設けている出版社もあります。本学にご所属の方で論文の投稿を検討される際には、是非こちらのページをご確認ください。 |
※論文のオープンアクセス化の進展にともない、APCを不当に得る目的で出版されるジャーナルが増えています。明確かつ厳密な査読プロセスを持たない学術誌は「ハゲタカジャーナル」(粗悪学術雑誌、Predatory Journal)と呼ばれ 、学術情報流通全体に与える悪影響が問題視されています (本学でもFD講演会での啓発がなされました)。一旦投稿してしまうと、OA化されたはずの論文へのアクセスが担保されなくなる恐れや、著者ご自身への評価を低下させてしまう可能性があります。論文投稿の際は十分お気を付けください。