埼玉大学図書館

学術論文等の即時オープンアクセス義務化について

概要

令和6年2月16日に統合イノベーション戦略推進会議により「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」が決定され、それを受けて2月21日には関係府省(文部科学省を含む)が同基本方針の実施にあたっての具体的方策を申し合わせました(令和6年10月8日改正)。これにより、国の方針としての即時オープンアクセス(OA)義務化における対象、公開方法、即時OAが困難な場合の取り扱い等が明らかになりましたので、ここでは、各事項の要件等及び本学における実施方法について説明します。

根拠文書・参考資料(内閣府Webサイトへのリンク)

義務化の対象となる研究費制度

2025年度以降公募分の以下の制度による研究費交付を受けた研究成果が対象となります。
2025年度から交付されるものであっても2024年度以前に公募されたものは対象外です。

資金配分機関 制度名
日本学術振興会 科学研究費助成事業
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(除:ALCA-Next, CRONOS)
日本医療研究開発機構 戦略的創造研究推進事業(革新的先端研究開発支援事業)
科学技術振興機構 創発的研究支援事業

義務化の対象となる研究成果

以下の研究成果が対象となります。

  • 査読付き論文(電子ジャーナルに掲載された査読済みの研究論文(著者最終稿含む))
  • 当該論文の根拠データ(掲載電子ジャーナルの執筆要領、出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表が求められる研究データ)

根拠データも対象となりますが、従来から論文とともに公表されていたデータと同等のものに限定されていることにご留意ください。

OA化の方法

リポジトリ登録(グリーンOA)
「所属する機関において機関リポジトリが整備されている場合は原則として当該機関リポジトリで研究成果を公開する」と定められていますので、本学所属研究者は埼玉大学学術情報リポジトリ(SUCRA)に論文及び根拠データを登録することで義務を果たすことができます。この場合、登録していただくのは、出版社が公開を許諾した版(多くの場合、著者最終稿)となります。

なお、NII RDC上(の検索基盤CiNii Research)で学術論文及び根拠データを検索可能とした場合は機関リポジトリに掲載したと同等に義務を果たしたものとみなされます(収録データベース一覧)。

オープンアクセス出版(ゴールドOA)
出版社の電子ジャーナルからオープンアクセス論文として出版された場合等は、資金配分機関への実績報告に学術論文及び根拠データの識別子(一般的にはDOI)を記載していただくことで要件を満たすこととなります。
電子ジャーナル上のOA出版は、一般的に著者が高額(数十万円程度)な論文掲載料(APC)を支払うことで行われます。本学では、電子ジャーナル購読契約に一定のOA出版権を付与する「転換契約」の推進・維持等により、研究者の負担軽減に努めています。また、本学が購読契約を結んでいることでAPC割引が提供されているものもあります。詳細は本サイト内の以下のページをご確認ください。

「即時」の要件及び即時OAが困難な場合

即時OAの「即時」は、学術論文及び根拠データが学術誌に掲載される時点(掲載巻号決定前に電子版が先行公開される場合はその時点)から公開禁止期間(エンバーゴ)がないことが原則です。機関リポジトリ等で公開する場合は手続きに要する期間として3か月程度が許容されています。
しかし、オープンアクセス論文以外で出版された電子ジャーナル掲載論文を機関リポジトリで公開する条件として、出版社がエンバーゴ(数か月から2年程度)を設定することが一般的ですので、実際には、リポジトリでの公開において上述の「即時」要件を満たすのは困難です。
そこで、関係府省申合せにより、資金配分機関は、実績報告システムにおいて

  • 「即時オープンアクセスが困難な理由」を報告できるようにすること
  • 困難な理由の選択肢として「出版社や雑誌のポリシーでエンバーゴの規定が存在」を設けること

とされていますので、エンバーゴがあることをもって直ちに義務に違反したことにはなりません。
なお、困難な理由が解消し次第速やかにOA化していただくこととなります。SUCRAには公開日時を予約して登録する機能がありますので、エンバーゴ中に成果を登録していただきエンバーゴ終了とともに公開することが可能です。ぜひご活用ください。


図書館では本学研究成果のオープンアクセス出版を支援しますので、不明な点やご相談等がありましたら 問い合わせ先 に記載の「機関リポジトリ(SUCRA)」「OA出版等」の各担当までご連絡ください。

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